ミモザ夫人

「ああ…」亮の口から嘆声がもれた。
貴族的な、と呼びたいほどの繊細で優雅な夫人の、なんと官能味あふれる裸身であろう。
歓喜に酔う亮の耳に、夫人の前夫、洋画家・津村の教える「暗喩」が甦える。
……亮は思いきって、そこに唇を触れ……息をのんだ。
――激しい恍惚に身をふるわす象牙色の肌、とめどなく洩らす甘美なすすり泣き。
しびれる頭の中で、亮ははじめて知った。
女体に秘められた、妖しくも狂おしい異様な性!
大南部コンツェルンの御曹子、美貌の青年・南部亮の華やかな女性遍歴を通して、作者はここに、大胆に「現代の性」を抉り出す。
話題の力作長編。

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