蝮の舌

「この森にはね、蝮まむしが出るのよ。
誰も入っちゃいけないのよ」──伝統ある生田流箏の家に生まれ育った姉妹、京香と清香。
伝統とは裏腹に、家の窮乏は深まっていた。
そこにつけ込み、箏の世界で権力を握ろうとする二人の男の卑劣な罠によって、生来の激情が剥き出しになっていく姉。
一方、姉の婚約者に一途な想いを寄せてきた複雑な嫉妬心から、自ら暗い罠に堕ちていく妹。
この姉妹を幼い頃から見守り続けてきた使用人の正巳。
そして──四年に一度の盛大な祭事「蝮をどり」の夜、聖なる森への入り口が開く……。
愛と性を描き、絆を描く、著者渾身の大作!
第二回団鬼六賞大賞受賞作品。
『エロスが何かわかっている』と選考委員・石田衣良氏に称賛された逸品!
【著者略歴】うかみ綾乃(うかみあやの) ─ 奈良県生まれ。
2011年『窓ごしの欲情』で日本官能文庫大賞新人賞を受賞。
2012年『蝮の舌』で第二回団鬼六賞大賞受賞。
2016年『姉の愉悦』(『溺愛』と改題)映画化。
小説家、コラムニスト、ミュージシャンの顔も持つ。
近著に『永遠に、私を閉じこめて』(講談社文庫)、『蜜味の指』(幻冬舎アウトロー文庫)。

まだレビューはありません

購入・お申し込みはこちら