
鹿之助は土蔵破りのお頭だったが、仲間の裏切りに遭って失敗。
以来、人嫌いとなり、世捨て人のように、偽坊主として廃寺で孤独に暮らしている。
いつしか時代も慶応から明治に変わった。
鹿之助が55歳になった時、雑木林の中で倒れた尼を見つける。
寺に運び入れて寝かせると、夜になって正気を取り戻した。
妙華と名乗るその女性は諏訪の尼寺への旅の途中だったらしい。
28歳の妙華は切れ長な眼で、瞳は濡れたように黒い。
女にしては眉は少々濃く、睫毛も長く濃密で、目元に翳りを作っている。
出家した身とは思えぬ色香があった。
長く伸びた髪を剃髪してやると、妙華はすがるように潤んだ眼差しを向けてくる。
我慢できずに抱きついてしまう鹿之助。
最初は嫌がっていた妙華は豹変し……。
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