乱れた喪服

大学のラグビー部時代、チーム一タフだった宮木正太郎の通夜の席、井ノ原圭吾は陰影に富んだ魅力を白い横顔に湛える喪主の女に、10年ぶりに会った。
大学卒業の夜のたった一度の過ちが、葬り去ったはずの過去が去来する。
マネージャーだった牧さやか…。
通夜の挨拶を終え、駅前のひと気のない公園のベンチに腰を降ろした圭吾は当時を振り返っていた──四十九日法要の葉書を一度は捨てた圭吾。
しかし、やはり出向いてしまった。
ひとり、侘しくさやかの住むアパートに──長い時間の、お互いの偽り、そして悦楽に飛び込むふたりには……。
【著者略歴】渡辺やよい(わたなべやよい) ─ 十九歳で「花とゆめ」にて漫画家デビュー。
レディスコミック創世記に活躍し、「レディコミの女王」と呼ばれる。
2003年『そして俺は途方に暮れる』で「R-18文学賞」読者賞受賞。

まだレビューはありません

購入・お申し込みはこちら